第2章 出会い、再会。
気にしていても仕方ないよね。
そんなことより――
気を取り直して上半身を起こし、布団から抜け出す。
カーテンの隙間から差し込む陽の光に手をかざしながら、私は窓際に立って一気にカーテンを左右に開いた。
「さて、と。今日は“はばたき学園”の入学式。小さい頃住んでいたこの町で、今日からわたしの高校生活が始まる……」
二階から見える眼下にはどこか懐かしい風景が広がり、微かに桜の匂いが交じった空気を鼻から吸い込む。
「早く新しい生活に慣れて、友達もたくさん作らなくちゃ」
振り返れば、壁に立て掛けられた真新しい制服。
紺色の上着にグレーのスカート。
胸元には赤いリボンタイというセーラーのような制服を手に取り、まだシワの一つも何も無い布地の上を手のひらで撫でる。