第3章 噂と真逆の彼
「ハァ~、ビックリした……。もう、尽のヤツ!」
携帯を枕元に放り出して、ドサリとベッドに横たわる。
……でも、これで葉月くんの電話番号が履歴として残ってるんだよね。
「今度、電話してみようかな……」
尽への制裁を考えつつ、葉月くんの名前でアドレス帳に新たに登録する。
葉月くんの名前が増えただけで、この携帯が何か特別な物のように感じた。
「……ふふ」
携帯を胸にほっこりとした心地で横になっている内、私はいつの間にか眠ってしまって……。
――と、ここまでが一連の出来事。
その後でもちろん尽にはキツい制裁(ご想像にお任せします)を据えたはいいが、だんだんと葉月くんへの申し訳なさが沸々と浮かび上がり。
お詫びの品を持ってきた次第なのです。
「……それでね、あの、良かったらコレ……もらって欲しいの」
鞄の中にしまっておいた物を取り出し、葉月くんの前に差し出す。
透明な袋にシンプルな白のレースでラッピングしたその中身は……猫の型抜きで作ったクッキーだった。