第3章 噂と真逆の彼
「葉月くん!? どうしてわたしの番号を?!」
「いや、なんか、通りすがりの小学生に番号渡されて……」
それを聞いて、先ほどの尽との会話を思い出す。
『今日は俺に感謝しろよな』
一体何のことだと気にはしていたけれど、きっとこの事を言っていたのね……。
「尽だ……」
「ん? 何か言ったか?」
「う、ううん! 何でもない!」
まさかその小学生がうちの弟だなんて、正直に打ち明ける勇気は私には無く。
適当に誤魔化す。
あん…っの、バカ弟め!
絶対に後で凝らしめてやらなきゃ。
「……お前、何か知ってるのか?」
「べ、別に何も。不思議なこともあるんだね!」
「…………」
もしかして、疑われてる?
不自然に言葉がどもってしまい、たらりと冷や汗が背中を伝う。
「そう、だな……まぁ、お前が何も知らないなら良い」
「う、うん……」
「……じゃあ、また」
「うん、じゃあね!」
結局話題も何も浮かばず、その場は葉月くんからの切り出しで通話を終えた。
それと同時に緊張が解けて、脱力する。