第9章 フィアーキング
「、・・・っ・・・エレ・・・?」
『あっはは、あー・・・久々笑った。
なんか、2人とも財閥とか難しい事抜きにしてると普通の友達みたいになるんだね』
「・・・普通・・・?
俺達が、か?」
『うん。
2人とも・・・なんて言うか幼馴染み?みたいな』
「・・・それはまあ、家の事情とかで子供の時からよく会っていたからね。でも・・・幼馴染みか・・・」
『財閥とか、私は全然知らないけどさ。
レンも真斗も・・・音楽好きなんでしょ?』
オレンジだったのが、沈み始めて少しずつ蒼くなっていく。
「・・・・・・不思議だな。
やれ家だの、やれ財閥だの・・・ごちゃごちゃしていたのに。心羽にそう言われてしまえば、確かにそうかもしれん」
「・・・聖川?」
「・・・・・・神宮寺、俺はやはり音楽が好きだ。
・・・1年限りの音楽には、出来ない」
『・・・1年、?』
「・・・心羽。
俺は、父の反対を押し切って早乙女学園に入学したんだ。・・・祖父がたまに見せてくれる芸に憧れたのがきっかけだった。
・・・祖父はもう亡くなってしまい、じぃにピアノを勧められて教えてもらいながら・・・俺は音楽と言う無限の可能性に惹き込まれていった」
『そう・・・だったんだ・・・』
「・・・・・・父は、財閥の中では格の高い存在・・・。彼が黒と言えば白いものも黒くなってしまう。
・・・恐怖の大王などとも呼ばれたりしている。
そんな恐怖政治にも似た日常で、ある日見つけたのが・・・・・・一枚の用紙だ。
・・・それには、俺が何歳から何歳まで何を覚え何を学ぶのかを事細かに書かれていた」
「・・・・・・・・・決められたレール、ってやつか」
『・・・まさにエリートコースの英才教育。
・・・それで、お父さんの反対を押し切ったんだ?』
「・・・1年。早乙女学園を終えたら、音楽と言う道を絶たなければならない事を条件として・・・」
・・・・・・・・・はい?
『・・・なにそれ、なんで1年だけ?』
「・・・・・・聖川の父親は、聖川の決められたレールに音楽は不必要だと決めつけてるのさ」
『・・・・・・』
親が、子供の未来を決める?
・・・・・・あー、うん。
それはアウトだよ。