第9章 フィアーキング
廃盤になった音源を聞き終えて、私はレン達の居るテーブルまで戻った。
いやーまさかレアなあの曲が聴けるなんて・・・耳福耳福。←なんか違う
『ただいまー。
・・・って、どしたの二人とも』
「・・・いや、気にしないでくれ。
楽しめたか?」
『そりゃあもう、色んな意味でお腹いっぱいだよ。
感動のあまり思わず叫びそうになったもん』
「ふふ・・・楽しそうで何よりだよ。
・・・さて、そろそろ移動しようか。今から向かえば丁度いいだろうしね」
『?
今度はどこ行くの?』
私がそう聞けば、2人は一旦アイコンタクトして「着いてからのお楽しみ」と言ってきた。
・・・あれ、なんか2人とも心なしか楽しそう・・・?
と、言う事で。
どちらからともなくやんわり目隠しされ、私は2人に手を引かれながら移動した。
音からして多分車じゃないかな。
途中で財閥執事のデジャヴ的な言い合いも聞こえてたし・・・。
そんなこんなで、目隠しを外された時に車のガラスから見えたのは日が暮れかけの・・・いい感じの夕焼け。
おお・・・と呟くとレンに手を引かれて、私は車から降りた。っつーかこれリムジン・・・??
『う、わー・・・・・・』
「・・・久々に来たが、此処は変わらんな」
「・・・・・・ああ、何も変わってない。
変わったのは・・・オレ達だ」
到着したのは、ものの見事なオレンジ色の夕焼け。
雲もあったけど、ほんのりオレンジ色。なんて言うかもう・・・オレンジ色。
あんまりにも綺麗で、ついついぽかんとしちゃったよ。
その表情に、隣からクスクスと笑われた。
「っふふ・・・、すまない・・・・・・お前が幼く見えてしまった」
『うおう、真斗に笑われた・・・!』
「、っははは。
幼く、ね・・・オレから見たらエレも聖川も子供に見えるけど?」
「なに・・・?
それを言うならばお前の方こそ子供に見えるぞ、神宮寺」
「へえ、言うじゃないか・・・。
・・・・・・エレ?」
『っ、ふふ・・・っあははっ、!』
知ってるかい、笑いは移るんだよ(((
夕日に照らされて、2人揃って子供みたいに言い合って。
それがなんとも微笑ましくて、私は両隣で言い合う2人を見ていたらおかしくなってきて笑っていた。