第8章 スイッチシンガー
side 翔
「・・・あいつ・・・那月がさ、すっげー嬉しそうにお前の事を言ってたんだよ」
『え、私の?』
「ああ。
ほら、仮パートナーが始まって一番最初に打ち合わせしたの那月で放課後から打ち合わせしたみたいだけど・・・あいつクッキーみたいな食いもん持っていっただろ?」
『あー、うん。
見た目にカルチャーショック受けたけど。意外に食べれた事にもカルチャーショック受けたけど・・・』
「・・・・・・・・・マジでか」
『うん、マジ。
卒倒覚悟でひと思いに食べたら・・・普通に食べれたんですよ。私もびっくりしたよあれには』
こいつはその場逃れの嘘をつくような奴じゃない。
嘘をつくより場違いな事を言う方を優先してるしな・・・。
って事は、やっぱアレを食えたのか。
・・・思い出すだけで意識飛びそうになるぜ。
「・・・あいつさ、普段ほのぼのしてる感じしてるけど昔からどこか周りと違う時があるんだよ。
俺はあいつの幼馴染みだから、そう言うのはなんとなく解るんだよな。
その反面で音楽は凄くてさ。
結局今までであいつに勝てた事ねえんだけどよ・・・」
『えー、来栖くんだってヴァイオリン上手いじゃん。
私は2人ともいい才能持ってると思うけどな』
「・・・お、・・・おう。サンキュ・・・。
・・・で、だ。
そんな俺と那月がすげえって思ってるお前には、知っておいて欲しいんだよ。仮パートナーとしてもそうだけど、その・・・・・・トキヤを解放してくれた心羽に」
今思えば、こいつって凄いよな。
俺らが全然気づけなかったトキヤの悩みとかをさっさと解決するわ、セシルを呪いから解くわ・・・那月の料理食っても平気とか。それに、俺や那月だけじゃなくて・・・トキヤ達も心羽に一目置いてる。
・・・・・・・・・って、なんか俺・・・今の状況まるで告ってるみたいじゃねえ!??
『んー、解った。
私に出来る事なんてたかが知れてるけどフォローしてみるよ』
「・・・って、あっさり受け入れんのかよ!?」
『あ。
でもさすがに戦闘能力は無いからね?
私インドア派だし』
「・・・ったく、言われなくても解ってるっての。
女子のお前に砂月と対峙しろとか言う訳ないだろ?」
当たり前のように受け入れられた。
・・・やっぱこいつ変わってる。