第1章 ニューゲーム
「っと、そうだ。一ノ瀬、」
何か思い出したのか日向先生は私の席の右隣の席に座って読書をしてた黒髪の男子に声をかけた。
男子は読んでた本から視線を外して私達の方…と言うか日向先生を見た。
「…はい。なんですか?」
「確かお前放課後に第2レコーディングルームの予約入れてたよな?
ついでと言っちゃなんだが…放課後、東椰を連れて来てくれねーか?」
「……構いませんよ」
「お、そうか!
じゃあ頼んだぜ」
用件を伝え終えた日向先生は「じゃ、待ってるからな!」と言って教室から出て行った。
…うーん、入学選考に送った歌って…アレだよね?
レコーディングルームで待ってるって事は音源は用意してくれてるって意味なのかな。
『っと、えーと……そんな訳で連れてってもらえるかな。一ノ瀬…君?』
「一ノ瀬トキヤです。
…ええ、ついでですし構いませんよ」
『そっか、ありがと』
「14時に向かいますので、教室に待機していてください」
ご丁寧に時間まで指定とは…しっかり者なんだな一ノ瀬君て。
…にしても、てっきり先生達がみんな聞いたって思ってたな。あの歌。
早乙女学園長しか聞いてなかったのか。
久々に歌うから、なんか楽しみだな。
そして始まった授業。
『(…さすがはSクラス。中々レベル高いな)』
専門学校、と言うだけあって授業内容は勉強になる内容ばかりだった。
早乙女学園の授業には主に三種類あるらしい。
アイドルコースの授業、作曲家コースの授業。そしてレコーディング。
アイドルコースは歌い手の基礎やらダンス、はたまたバラエティのリアクションやらを。作曲家コースは課題曲の編曲やらを。
レコーディングは、実際に曲をゼロから作る本格的なもの。
あと、たまに早乙女学園長の突発イベントなるものがあるとか。
…うーん、気になるかも。