第3章 オーバーフロー
曲が止まり、ふー・・・と息をつく。
歌ってる間にすっかり夕焼け色に染まった空に目を向ける。
・・・うーん、清々しいってこう言うのを言うんだね。うん。
むぎゅぅっ!!
『ふお、っふぅッッ!!?』
「すっごく上手でした~!
歌、とっても良かったですよ!」
『え、ちょ・・・えっ?』
「コラ、那月っ!!
こいつ困ってんだろうが。いきなり抱きつくなっての・・・」
「あっ、パンダさんがあんまりにもキラキラしてたのでつい・・・ごめんなさい」
『いや、そんなに落ち込まれても・・・。・・・って、あれ?』
パンダさん呼ばわりしてくる眼鏡かけてるふんわりミルクティー色の髪の男子にハグされた。かと思えば帽子をかぶった金髪の(ちっこい)男子がそれを注意して・・・。いやー抱擁力ぱねぇっす。
しょんぼりと反省している眼鏡の男子に解放されて、ふと気づく。
楽譜拾ってくれた人、もう居ないや。帰ったのかな?
「・・・どうかしましたか?」
『あ、ううん。なんでもない。
・・・それより、よくみんな集まれたね』
「クラスに分かれて探していたんだ。
要所要所に記されていたヒントから森の中に楽譜が隠されているところまで解ったからな」
「で、森の中を探してたら丁度心羽の歌が聞こえてきて此処で合流したって訳よ。
・・・って言うか、あんた歌上手いわね!」
「うんうん!
かっこよかったし、なんか一緒に歌ってみたいって思ったもん」
「ふふ・・・、聖川やイッチーが気に入っているだけはあるね。オレも久々に興味を持ったよ。・・・どうだい、オレとパートナーを組んでみるって言うのは」
「「!?」」
急にどうした、神宮寺くん。
きょとんとする私。そしてビックリを絵に書いたようにビックリするみんな。
「残念ですが、レン。
彼女の志望はシンガーソングライター・・・パートナーは組む気は無いそうですよ」
「・・・お前の思いつきだけで、東椰を巻き込むな。
東椰は真剣に音楽と向き合っているんだぞ」
どうした一ノ瀬くんと聖川くん。
そして言い方がちょっと辛辣だと思うのは気のせいかな聖川くんや。