第2章 エンカウント
下手なグルメリポーターも真っ青なリポートをしてくれた聖川くんは、クリームパンだけでは飽き足らず焼きそばパンを食べてもグルメリポート力を発揮してくれた。
・・・これは才能だよ、うん。
『(それに対して私の感想の乏しさ・・・乙)』
「ふう・・・とても美味だったな。ご馳走様。
・・・東椰・・・、と言ったな」
『ん?
あ、うん』
「その・・・先程の歌、惹き込まれるものを感じた。
なんと言えばいいのか解らないが・・・音源も合わせて聞いてみたいと思った」
『音源・・・。
あー、そー言えばイヤホンして聞きながら歌ってたんだっけ。でもあれまだ出来上がってないし・・・』
「すぐにとは言わない。出来上がったらでも構わないんだ。
・・・だめ、か?」
『え、いやダメじゃないけど・・・。
・・・あ、じゃあ月末でもいい?』
「月末・・・?」
『うん。課題曲だから、あれ』
「!
か、課題曲なのか?」
『そのつもり・・・て言うかそうだけど?
・・・あー、まあアレンジしたからね』
「そうなのか・・・。
では、レコーディングテストの時に見学・・・いや同席しても構わないか?」
『硬いなあ・・・別に、いいよ?』
何をそんなにかしこまってるのやら。
私が普通に承諾すれば、聖川くんは安堵した表情を浮かべて「ありがとう」とお辞儀してきた。
「それと、聞くのを忘れていたのだが・・・俺はAクラスなんだが東椰は所属クラスはどこなんだ?」
『私はSだよ』
「S・・・?
・・・Sならば、神宮寺と一緒のはずだが」
『あれ、そなの?
・・・あーでも私三日遅れで入学したからなぁ。・・・あ、もしかして授業来てない人かも』
「・・・あやつめ。やはり授業に出ていないのか。
まったく・・・」
『うーん・・・まあ、なんとかなるよ。
音楽好きなんだから、この学校に居るんだし』
私の言葉にきょとんとした聖川くん。
・・・その鳩が散弾銃食らったような顔、やめてくれるかな。
昼食を食べ終えて、私達はそれぞれ戻って行った。