第2章 エンカウント
月末。
──「あぁ、ミスっちゃった」
また不気味な僕に、常々溺れていく──
無事に完成した歌を歌い終わって、収録ブースに戻る。
そこには担任の日向先生と、聖川くんが居た。
「・・・っし、これなら文句ナシに合格だ!」
『おお。
ありがとうございまーす』
「うむ・・・素晴らしい仕上がりだったぞ」
『ん、褒めてもなんも出ないけどありがと』
「にしても、お前らいつの間に仲良くなったんだ?
一ヶ月前は一匹狼・・・女子だから狼じゃねーか。まあそんな感じで誰も寄せ付けねー感じだったじゃねーか、東椰は」
『失敬な。
私は寄せ付けないオーラなんて出してませんよ。ただ音楽しか頭に無いだけですよ』
「お前な・・・ドヤ顔で言うなっつの。
・・・でも、安心したぜ。これからはSとAが合同の授業が増えてくからな。
少しでも仲の良い奴が居た方がいいだろ」
そうなのだ。
四月末現在、今のところ早乙女学園長による突発的なイベントはない。
でもそれが逆に怖い。なんて言うのかな、嵐の前の静けさ?そんな雰囲気が怖い。
『合同・・・でもそれって、別にパートナーとか強制じゃないですよね?』
「またお前は・・・。
まあ、確かに強制じゃないが・・・」
「・・・?
東椰もパートナーが居ないのですか?」
「ん?
ああ。まあ俺のクラスの奴らは大半パートナー決まったんだけど・・・東椰みたいにパートナーを組む気更々無い奴はこいつくらいだぜ。
・・・も、って事はお前もパートナー組んでねえのか?」
「ええ・・・組もうとは思うのですが、中々気の合う作曲家コースの生徒が居らず・・・」
「ふーん・・・なら、いっそのことお前ら2人パートナー組んでみればいいんじゃないか?」
『え』
「それは・・・俺としては嬉しいですが、・・・」
「まあ、それこそ強制はしないけどよ。
っと・・・取り敢えず俺はそろそろ行くぜ。明日は通常授業だから遅刻すんなよー?」
ニカッと爽やかな笑みを浮かべて、日向先生はレコーディングルームから出て行った。
日向先生の提案に何気なく気まずくなった私達は、二言三言交わして解散した。
・・・パートナー、ねえ。
(夜咄ディセイブ/じん(自然の敵P))