第2章 エンカウント
『・・・どしたの?』
「あ、いや・・・どれを買えばいいのか解らなくてな」
『??
食べたいの買えばいいじゃん』
「そうしたいのも山々なんだが・・・どれも食べた事の無いものでな」
『・・・はい?
えーと、じゃあ昨日までどうやって食べてたの?』
「じぃが手作りの弁当を持ってくるんだ。
・・・頼んだつもりは無いんだがな」
『いや、それ断ろうよ』
「そうしたいのも山々なんだが・・・」
『ふーん・・・。
率直に、今一番食べたいのはどれ?』
「そうだな・・・このクリームパンとやらを食べてみたい。・・・ああ、でも焼きそばパンも気になるな」
そんな会話を飲み物を買う時もして。
結局私達が買ったのは、私が鶏の唐揚げとチョコチップメロンパンで飲み物はロイヤルミルクティー。聖川くんがクリームパンと焼きそばパンで飲み物はお茶。
買うものを買って、私達は中庭のベンチに向かった。
『へえ、付き人ね・・・。
その割にはあの過保護さはどうかと思うけど』
「はは、そうかもしれんな・・・俺もたまにそう思う時がある。だが、心配している上の行動なだけに無下にも出来なくてな」
『ふーん・・・。
ま、聖川くんがそう言うなら別にいいけどさ』
「ああ。
・・・さて、そのじぃがまた来ない内に食べるとしようか」
『ん、そーしよっか。
いただきまーす』
クシャリとチョコチップメロンパンの袋を破ってぱくりと一口。
表面のサクサクしてる生地にくっついてるチョコチップが、下のメロン果汁の染み渡ってるパン生地と口の中で程良く混ざり合う。チョコチップが主張しすぎずにメロンパンの風味もちょうどいい。
・・・さっすが早乙女学園長。
正式名称をチョコチップサオトメロンパンにしてるだけあるなあ。
『んー、んま』
「・・・!
これは、確かに美味しいな・・・クリームが甘すぎずにパンの生地と混ざり合っている。噛めば噛むほどにパン自体の香ばしさが口に広がっている・・・!
購買とはこんなにも美味な完成品を販売しているのか」
・・・・・うん、そのどこか初々しいけど素直なハイレベルなグルメリポートはどっかのCMに採用されると思うよ聖川くんや。