第2章 エンカウント
side レン
気分的に一人になりたくて、レディ達には悪いけど今日は一人で早乙女学園の敷地内を気ままに散策していた。
授業?
つまらないし、出ないよ。まあ今日は自習日だから授業自体がないんだけとね。
自習日って言うのは生徒が好きなように作曲したり歌合わせしたり、とどのつまり通常授業をしなくてもいい日って事さ。
「………ん、あれは…」
湖にでも足を伸ばそうかな、と思っていた矢先に誰かが居るのに気づいた。
興味本位でよく見れば、それは同室のあいつだった。
声をかけて見れば、邪魔が入ったと言わんばかりにオレを見てくる聖川。
その隣にはどこかで見たような気がするレディが。
「珍しいな、聖川。
お前がレディと一緒に居るなんて」
「…貴様には関係ないだろう、そう言うそっちこそ珍しいな。
見たところ一人の様だが」
「たまにはオレだって一人になりたくなるさ。
…ところで、そちらのレディは名前はなんて言うんだい?」
『……普通、名乗るなら自分からだと思うけど?』
「…おっと、これは失礼。
オレは神宮寺レンだよ」
挨拶代わりにレディの手を取ってキスをひとつ落としてあげる。
大抵のレディはこれで照れてくれるんだよね。
・・・けど、どうやらこのレディは違ったようだ。
照れるどころかきょとんとされてしまった。
変わったレディだと思いながら、聖川よりオレとデートをしないかと誘えば断られた。
これにはさすがのオレも驚きを隠せない。
「…っははは!
これは驚いたな…まさかここまでとは思っていなかったよ」
『なにが面白いのかさっぱりなんだけど。
…とにかく、私は聖川くんに誘われてるから』
「!…い、いいのか?」
『…少なくとも神宮寺くんと行くよかマシだよ。ほら、行こ?』
オレの事は眼中に無いのか、レディは聖川と立ち去って行った。
「っ、く・・・ははっ・・・!
まさかこのオレが聖川に遅れを取るとは・・・」
名前、聞いておけばよかったな。
・・・面白いレディだ。
この学園も存外面白いみたいだね。
さて、久々にジョージに頼み事しようかな。