第14章 ガールズトーク
『んー・・・ラブソング、ねえ・・・』
時刻は21時。
入浴を終え、私は七海さん達と別れて共同リビングで五線譜シートとシャーペンを手に考えていた。
ラブソングと一言で言っても、その種類は幅広い。
初恋ソング。片想いソング。両想いソング。告白ソング。遠距離恋愛ソング。・・・失恋ソング。
初っ端のラブソングが失恋だとアレだし・・・。
『・・・片想いと、告白かあ・・・』
かしゃーん!
『っ、!?
え、なに・・・?!』
「・・・・・・ぁ・・・っ、す・・・すまないっ。
だが、その・・・片想いとか・・・・・・告白とか聞こえて・・・」
『あ、真斗。
・・・びっくりしたぁ。また早乙女学園長でも突入してきたのかと思ったよ・・・』
「すまない・・・。
風呂上がりで、少し涼みたくてな。・・・心羽もか?」
『うん、ちょっと考え事してた。
ここ座る?』
物音がしてその方向を見れば、お風呂セットを落とした真斗が居た。・・・いや、何故にそんなに慌ててるのさ。
私が座っていた柔らか素材のウッドチェアの隣に腰掛けた。
『あ。そーだ。
真斗って誰かに恋とかした事ある?』
「、こ・・・っ!?////
な・・・なぜそんな事を・・・!
まさか、心羽は誰かを・・・っ////」
『はは、落ち着いて。
恋してないから。参考に聞いとこうかな、って思って』
「そ、・・・そうか。参考か・・・」
『なーんか、今日の事もあって恋愛について考え直してみてるんだけど・・・よく解んなくなってきてさー』
「・・・ふむ・・・恋愛、か」
だいぶ落ち着いたのか、真斗は考え込むように顎に手を添えた。
・・・お、おお・・・なんか真面目に考えてくれてる。
「・・・・・・改めて聞かれてみれば難しいものだな・・・。
恋愛と一言で言っても、人それぞれだろう。家族としての愛。友としての愛。目上の人に対する愛。・・・他にも多種多様だな」
『・・・だよねー』
「・・・だが、一番大事なのはその相手をどれだけ想っているのかだと思うぞ」
『・・・どれだけ想っているか、か。
・・・・・・うん、なんか見えてきたかも』
「・・・ふふ、そうか。
それならば良かった」
優しく柔らかく微笑まれて、私はシャーペンを持ち直した。