第11章 バケーション
side トキヤ
他のメンバーが躍起になりかけている心羽を宥める(もしくは本心)。
そんな中で、私は1人言葉が出ないで居た。
それを見兼ねた渋谷さんが、私の顔の前で手を振る。
私はようやく我に返った。
「ほらほら、一ノ瀬さんも心羽に言ってやってよ。心羽待ってるわよ〜?」
『、いや別に・・・言わなくても、』
「・・・・・・すみません。
想定外の、変わり様でしたので・・・。・・・とても、可愛いですよ。なんと言うか・・・私は、好きです」
『・・・す・・・、?
・・・・・・え、あ・・・う・・・あ、・・・・・・っっふあぁぁぁぁぁぁあおぁあああ・・・!!!//////』
「あ・・・っ、心羽ちゃんっ!」
ばんっ!
私の言葉が相当効いたのかはたまた褒められすぎた故か、心羽は奇声を上げて一直線にコテージの玄関ホールから外へと猛スピードで駆けて行ってしまった。
「・・・あっちゃー、逃げられちゃった」
「まあ、あんだけ褒めちぎられればそうなるわよね・・・。あの子、褒められ慣れてないみたいね」
「でも、コノハちゃん顔真っ赤にしてたね。なんか可愛かったにゃ〜」
「ふふ・・・まあ、イッチーの言葉が決定打になったみたいだけどね。あれはエレへの愛の告白って意味の解釈でいいのかな?」
「、っは!?
待ってください、なんであの雰囲気でそう言う意味に取られるんですか。私は心羽の・・・水着姿が可愛いから、その格好が私の好みだと言っただけです」
「それを言ったら、ここに居るみんなが大好きですよねぇ。このちゃんの事♪」
「イエス。
コノハはみんなに愛されています」
「あ、愛・・・か。
いやしかしだな、俺達は恋愛禁止令が出されているぞ?」
「・・・ええ、そうですよ。
現に夏休み前に何人かが禁止令を破ったのがバレて退学になっています」
「えー、トキヤは堅いなあ・・・」
「貴方が奔放なだけですよ。
・・・さて、そろそろ心羽を探しに向かいましょうか。いくら学園長の私有地とは言え、迷われては大変ですし」
私の言葉にメンバーが頷き、外へと向かう。
・・・・・・しかし、私とした事が見惚れてしまうなんて思っても見ませんでしたね。