第2章 初めての奪還依頼
ー街の中・老人の店ー
朔哉
「これだろ?」
そう言って手渡したのは古びた懐中時計だった。
老人
「ありがとう…!若いの。」
朔哉
「礼はいいから兎に角気を付けるんだな。大切なものはちゃんと守れ。」
老人
「しかしそれでは…。何か礼をさせてくれ。」
朔哉
「……好きにしろ。」
そう言うと老人は店の奥から大きさの異なったアクセサリーを持って来た。
老人
「これはちょっと変わったアクセサリーでな?2つで1つなんじゃよ。」
朔哉
「それって普通じゃねぇか?ピアスやイヤリングも2つで1つじゃねぇか。」
老人
「『これを持つ物の主の探し物が見つかる』と言っても普通かの?」
朔哉
「!?どう言う意味だ?」
老人
「そのままの意味じゃ。信じるか信じないかはお前さん次第じゃがな。」
朔哉
「…………。」
(主の探し物が見つかる…か。)
老人
「興味を持ったようじゃな?」
朔哉
「…少しな。」
老人
「使い方はな…まずこれを『利き腕の反対の腕』に付けるんじゃ。」
朔哉
「これでいいのか?」
老人
「ほぉ~お前さんは左利きなのか。」
朔哉
「昔はな。今は両利きだ。」
老人
「そうか。もう1つは…首に付けるんじゃ。」
朔哉
「…首って首輪か?」
老人
「なんじゃ。ネックレスを知らんのか?」
朔哉
「?」
老人
「まぁよい。それで完成じゃ。」
朔哉
「…変じゃないか?」
老人
「似合っとるよ。」
朔哉
「あ、ありがとう。じゃあ俺はそろそろ行くよ。」
老人
「次の目的地は決まっとるのか?」
朔哉
「いや?特には。自由に旅をしたいからな。」
老人
「お前さんの『探し物』が見つかるといいのぉ。」
朔哉
「あぁ。じゃあな。」
そう言って別れを告げ、店を後にした。
老人
「きっとあの者の役に立つじゃろう…。」