第2章 初めての奪還依頼
ー偉大なる航路・とある島ー
朔哉
「全く…。人の物を奪って何が楽しいのか…。」
そう呟きながら盗人が逃げたと言う方向へ向かっていた時だった。
!この匂いは…
あいつか!?
前方にいかにも怪しい小太りなおっさんが回りを気にしながらうろついていた。
朔哉
「おい。お前か?老人の大切なものを奪ったのは。」
盗人
「誰に向かって口を利いてんだ?兄ちゃん?」
朔哉
「それはこちらの台詞だ。」
盗人
「!お、お前は…!」
島の人A
「海軍少将!?」
島の人B
「何であの海軍少将がこんな街中に!?」
ざわざわ
朔哉
「相手になっても構わないのだが…。」
そう言いながら腰の鞘に手をかけ月光(げっこう)を引き抜いてみせる。
盗人
「ひぃっ!」
朔哉
「………」
(人が集まって来たな…。)
盗人
「わ、悪かった!頼むから見逃してくれ!!」
朔哉
「…次は無いぞ。」
(謝るくらいなら最初からするなよな。)
キン
と月光を鞘に戻す。
朔哉
「………。」
見ての通り俺は今老人の探し物をしていたとこだ。
これが海軍を辞めてからの初めての奪還依頼になる。
海軍に居た時も似たような事が仕事の一部だったから変わった事は特に無いけどな。
え?
何で少将なのに海軍を辞めたのかって?
悪いがそれはまだ教えられない。
とりあえず…
朔哉
「戻るか…。」
依頼主の待つ場所へ…。