第30章 封印
俺がベッドで目が覚めた時には
隣にもう女の姿も温もりすらもなかった
女は俺と別れるのが辛くて
俺が眠っている間に行ってしまったようだ
俺は二人で過ごした時間を思い出しながら
少しだけ微笑みながら身体を起こした時だった
部屋の扉にノックの音と同時に開いて雛が入って来たのだ
村上「ちょっとええか?」
雛が何も着ていない俺を見て驚いたが
一瞬で全てを理解したようで気まずそうに立ち尽くした
横山「すぐに着替えるから待っとれ」
俺はそう言うと、雛の前で急いで服を着始めた
雛は俺を見ずに壁などを見ながら
村上「ほんま、すまん」
横山「べつに、かまわんよ」
俺は、すまして言うと
村上「実は、さっき例の鏡を見に行ったんや」
俺は雛の顔を見つめた
村上「あの、部屋の壁が直されてて」
横山「直ってる?」
雛は小さく頷いた
村上「おん、そんで調べてみたんや
まぁ、直に見てもらった方が早いと思うから
お前ん所に来たんや」
横山「なるほどな」
そう言った時に俺の準備が出来た時だった
雛はその姿を確認すると安心するように歩き出したのだ
俺はその後について部屋を出た
俺は考えていた
壁を直したのは女か?
あの鏡があると争いがあるから直していったのか?
女の行動に疑問を持ちながら俺は雛と歩いていた
俺がいつもの部屋に入ると
すばる以外の仲間が静かに俺を待っていた
仲間は俺に何も言わなかった
ただ俺に静かな目線を送っていたのだ
俺も誰にも声を掛けずに壁を見た
雛の言葉通り、ちゃんと壁は直っていた
俺は、真意を確かめるために壁を通り抜け
鏡の部屋に行くと
鏡の前にすばるが立って俺を待っていたように
顔を見るなり微笑んだ
渋谷「これは、お前にやで」
そう俺に伝えると、すばるは俺の肩を軽く叩き
それ以上は何も言わずに
部屋から通り抜けて出て行ったのだ