第29章 終局
女はいつもと違う俺を見て心配そうな顔になっていたが
優しく俺の頬に手をあてると
「私は、今から貴方の呪いを解く方法を探しに行ってくる」
横山「その本の用に永遠に歩くんか?」
俺は女を真剣に見つめながら言った
そんな俺を女は見て突然に笑いだして
「本は本でしょう?」
俺には女が嘘を付いていると分かった
でも、俺にも男の意地があった
俯きながら強がりを言った
横山「そうやな、待っててやるわ」
「楽しみに待ってなさいね」
女は俯いている俺の顔の下から覗きながら
得意げに言ったのだ
俺はそんな女を何よりも愛おしくなり
無言で突然に引っ張って抱きしめた
女は突然の事に、動揺するように俺の顔を見ながら
「横君....」
横山「くそ、離したくないな...」
俺は初めて本音をもらした
弱さを認めた時だった
その言葉を聞いた女は俺の胸に顔を埋めると
「きっといつかは、一緒になれる....」
横山「いつかな...」
俺は、女を抱きしめ続けていた
俺と女はいつまでも黙って抱き合っていた
離れる事を拒否するかのように
言葉を交わさなくても
お互いの気持ちが通じ合う感覚を感じていた
このまま時間が止まったらと願いながら
俺は、静かに女を身体から離すと
女も悲しそうに俺を見ていた
何も言わずに手を引いて書斎の部屋から出た
そう、二人の時間を過ごすために
女を独り占めするために
二人だけの夜を過ごすために