第29章 終局
俺は、自分の書斎部屋に足を進めていた
俺には女の居場所が臭いで分かっていた
そうマルがいつも使う力が俺にも出来てきていたのだ
俺が部屋のドアを開けると
女は一冊の本を手にして静かに読んでいたが
俺が来たのを知ると本から目線を離して顔を向けた
横山「何を読んでるんや?」
俺はゆっくり歩いて女の傍に行った
女は微笑みながら俺に本を見せた
その本は
女と会った夜に、どこかで拝借して来た本だった
横山「二人の神の話か….」
女は小さく頷いた
横山「ほんまにお前らみたいやな」
俺が呟くと
「昔から人は記録に残すから….」
そう言葉の後に女は本に目をやり読み始めた
横山「その二人の神は、どうなったんや?」
俺の問いかけに、女は寂しそうな顔を見せたのだ
俺は真剣な顔で女を見ると
女は決心したような様子で口を開いた
「光の世界にいた神は、統一させて
闇に進んだ神は、永遠に救われる日など来るはずもなく
次から次に闇の者が生まれる世界を歩き続けたと…」
その言葉を聞いた俺は
強引に女の開いている本を奪ったのだ
そんな俺に女は驚いた顔で見つめてきた
横山「それは本の話やろ?」
俺は不安にかられていた
本が俺らの未来を暗示しているような気がして
もし、あのじーさんの言うように
女が慈悲の強い神なら
二度と戻っては来ないだろう