第24章 罠
俺は、庭を歩きながら考えていた
横山「そう言えば、俺はあんまり庭を歩いた事ないな」
俺は本ばかり読んでいたから
丸山「散歩しているイメージとは違うしね」
横山「なんやねん、それ」
俺とマルは二人で笑い合った
しばらく歩くと、突然マルは足を止めて
丸山「ここから、するよ」
マルが案内したのは
庭の隅にある使ってない井戸だった
横山「井戸からか....」
おれの言葉にマルは頷いた
俺とマルは井戸の底を静かに覗いて見た
深い井戸のようで底が全く見えなかった
丸山「なんで、ここに遼ちゃんは来たんだろ?」
横山「アイツのする事は時々、分からんからな」
俺は底を見ていた
丸山「どうする?入る」
マルは不安そうに俺に聞いてきた
横山「亮がおるんやったら、入るしかないやろ?」
俺はその言葉と同時に井戸の底に飛び込んだ
落ちて行くその瞬間に
俺の隠された記憶が蘇ったのだ
恐怖が俺を支配し始めた
暗闇の恐怖で全身に痛みが走る
《俺は殺されてしまう!》
俺の脳裏に思いが過った
横山「ぎやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
俺は辱めもなく井戸で大声を上げた
丸山「横山君!!!!!」
一緒に降りてきたマルが慌てて俺を抱きしめる
俺はその時にある事を思い出した
この感覚を知っている!
何処かでこの感覚を味わった事がある!
丸山「一度、上に上がろう」
マルは俺を強引に引き上げて飛んだ
井戸から出た俺の荒い息遣いをマルは心配するように
背中を撫で続けた
丸山「ここは、他の誰かと調べるから
横山君は休んでいて」
マルは優しく背中を撫で続けていた
横山「....俺を助けたんはお前やったんやな」
その時、二人の中に気まずい空気が流れたのだ