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Dye D?〈番外編 横山〉

第23章 段階




俺は小さくため息をつくと


横山「悪いけど、これは返すわ」


俺は冷たく女につき返した


村上「ちょ、横!」


止めに入る雛を俺は静止させるように、手を上げた


横山「人に差し出されたモノにすがる程

俺たちは落ちぶれてはいないんでね」


俺の言葉に女は、箱を受け立った


横山「それに、俺は今の身体も不幸やとは思ってない

今の運命も満足やと思っているし

そんな望みに縋りたくないんでな」


「娘が惚れるのも仕方ないか....」


老人は静かに俺に背を向け始めた


横山「.....」


そのまま消えていく老人を黙って見ていた


女は、雛の傍に歩み寄ると


「しんご、また会えるからね、待ってくれる?」


村上「おん、いつまでも待っててやるわ」


雛は嬉しそうに微笑んで、女を見つめた

女は雛に微笑み返すと俺に目線を送り


「お嬢様の事は、ご心配なく

すぐに帰ってくると思いますので」


村上「それは、どう言う事や?」


雛は俺の代わりに尋ねた


「貴方は、認められた」


女は嬉しそうに言った


横山「....気に入らんな」


俺は、こいつらのやり方に頭に来ていた


村上「まぁまぁ、落着けって」


雛が俺の背中を軽く叩いた


「それじゃ、私も行かなくっちゃ」


そう言うと、女は雛の頬に優しくキスすると

霧のように消えていった



俺はその場に立ち尽くしていた

雛は切なそうに、消えた後に

女の墓をいつまでも撫でていたのだ


その姿を見ながら俺は、自分の恋を思っていたのだ

そして、

いつの日か仲間の誰もが笑ってられる日は来るのかと

切なくなっていたのだ

雛の背中を見ながら


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