第21章 序開
俺は目を細めて壁を見つめていた
横山「そこから離れろ」
みんなに合図すると同時に
ソファーを躊躇なく壁に向かって
放り投げた
部屋には激しい音と埃が立ち込め
みんなは口や鼻を押さえて咳き込んだ
村上「もうちょっと、おとなしいやり方は出来んのか?」
雛は呆れながら言った
横山「今の俺には無理やな」
煙の先に大きな穴を見つめて言った
安田「俺らは壁を通り抜けられるにさぁ
横ちょは焦り過ぎてない?」
ヤスは笑いなら言うと
丸山「先の見えない所の移動は危険なんだよ
もしかしたら
そこから動けなくなるかもしれないから」
村上「なるほどな、だからこれか?」
やっと埃が収まってきた穴を見つめて
雛は言った
渋谷「ヤスの言う通りほんまに部屋があんで?」
すばるは楽しそうに言った
俺は、穴にゆっくり入っていくと
仲間も続いて隠された部屋に入った
大倉「ねぇ、この屋敷って本当に不思議だよね」
大倉は部屋を見渡すと呟いた
錦戸「どう言う事や?」
丸山「屋敷の構造と、この隠し部屋….」
錦戸「構造?」
丸山「建物が奥へと複雑な間取りになっているんだよ
太陽の光が入りにくそうにね」
錦戸「そうなんか?」
亮はマルの話に関心するように頷いた
村上「えっと、前の持ち主は?」
雛の言葉に誰もが首を振った
どこを探しても前の持ち主の
痕跡は見当たらない謎の多い屋敷
窓すらないこの部屋に
頭から足の先まで映る
古そうな鏡だけが真ん中に静かに置いてあった
俺は、鏡にゆっくりと近づくと調べ始めた
村上「なんで、こんな所に鏡があるんや?」
雛も不思議そうに鏡を見た
横山「....これが鍵なんかも」
俺は、鏡の後ろに回ると
何かないかと探した
丸山「ここから匂いがする....」
マルは自分が映らない鏡の前に立ち
そっと触って匂いを確認した
渋谷「この先は、どうしたら行けるんや?」
すばるは俺の後ろに立って俺に聞いた
横山「俺らには無理なんかもな....」
俺は鏡の正面に座り込み、みんなに伝えた