第20章 志向
俺は女が心配で
強引に部屋に入ろうとドアノブを掴んだ
大倉「だ、ダメだ!!!」
大倉は俺とドアの間に入って止めた
大倉「横山君が灰になってしまっては
彼女を助けられない...」
横山「くっ...」
俺は悔しくって仕方なかった
大倉の肩に顔を埋めるように
その場から動けずに立ち尽くしていた
そんな中
俺の扉を叩く音に驚いて他の仲間が集まって来たのだ
俺が悔しそうに立っている姿に誰も声を掛けられずに
何があったのかと不安そうに俺を見ていたのだ
大倉「....彼女がさらわれたかも知れないんだ」
俺の代わりに大倉がみんなに伝えた
安田「えっ、どういうこと?」
大倉「それが、僕たちもよく分からなくって」
錦戸「なんで、部屋に入らんの?」
大倉「窓が壊されているようで....」
渋谷「今は、昼か....」
大倉「そうなんだ、だから...」
村上「どうなったか分からんて事か?」
大倉「うん...」
その会話に俺はまた悔しくなり、扉を力一杯に叩いた
村上「そんな事をしても、何もならんやろ?
まずは落ち着け」
俺は返事もせずに扉に向かって俯いていた
丸山「彼女の匂いはこの屋敷からするから
何処かにいると思う....」
みんなの後ろに立っていたマルが、静かな声で言った
一斉にマルを注目する
横山「どこやねん!どこにおるんや?」
急いでマルに詰め寄るがマルは俺には口を噤む
俺はマルの胸ぐらを掴んだ
横山「マル、早く言えや!」
その様子に雛が止めに入って来た
村上「横! やめろ!」
俺は強引にマルから離され、すばるに力強く抑えられた
村上「なぁマル、彼女は何処におるんや?」
雛は優しく聞くが
マルは俯いて頑なに答えようとしなかった
その様子を見ていた大倉は、マルの前に歩み寄り
大倉「マルの大切な人が同じ立場になっても
同じ事をするの?」