第17章 宝物
お互いの感情が激しくぶつかっていた
村上「その女を愛するのはお前の勝手や
お前の思いを俺は応援するで
俺は別れの辛さを知ってるし、それは大倉もやし
だから無理に別れんでもええと思ってる」
俺は何も言わずに、黙って雛の話しを聞き続けていた
村上「なぁ、女をほんまに愛してるなら
みんなを説得しろや!」
横山「何が言いたいねん?」
村上「俺らすら、納得できん奴が
神に勝てると思ってるんかって事や!」
横山「.......」
雛は傍にいる女を無視して俺の目の前に立った
村上「失う事は怖いやろけど、どんな時でも逃げるんは
お前らしくないんとちゃうか?」
横山「俺らしい?」
村上「お前は上から人を馬鹿にしたようにモノを言って
鼻で笑ってるヤツやろ?
俺はお前が一番吸血鬼に相応しいと思っとる」
横山「何やねんそれは」
俺は笑いながら言った
村上「神に喧嘩を売るんもええ
神の女に手をだすんも何も言わん
しかし、ちゃんと俺らを納得しろや!ええな!」
雛は言いたい事を言うと女に頭を軽く下げて
さっさと部屋を出て行ってしまった
雛の言葉が重しのように胸の奥に響き
何も言えずに考え込んでる俺に
「...横君はどうするつもりなの?」
優しい口調で女は言った
横山「どうするって、何がや?」
「仲間に激励されて、いつまで拗ねてるのかなぁって」
女は俺を見て笑った
横山「ほんまに、馬鹿馬鹿しいわ」
「素敵な仲間ね.....」
女は羨ましそうに呟いた
横山「これは俺の宝物や」
俺は大事な事を思い出して苦笑いした
「大切にしてね」
女は軽く俺の手を握った
横山「この命に変えてもな」
俺の言葉に女は嬉しそうに頷いた
横山「ここで待っとれ、直ぐに帰って来るから」
俺はそう言うと女を残して部屋を出たのだ
仲間を説得するため
俺の未来の為に俺は闘い出したのだ
俺は女が悲しそうな表情をしてると気づかずに.....