第12章 未来
仲間は疲れていたようで帰ると同時に寝てしまった
しかし、俺は一人起きていた
いつもの集まってる部屋で
女が来るのを待っていたのだ
心のどこかでは来ないかもしれないと
思っている部分もあった
俺は、闇にしか生きられない吸血鬼なのだ
そんなヤツを本気で救おうなんて
あるわけないからだ
今までも
そんな甘い話が転がってる事はなかった
俺はため息をついてソファーに腰を下ろしていた
どのぐらい時間が経っただろう?
部屋の扉がゆっくりと開いた
俺は女だと思って、扉に注目すると
そこには、マルが心配そうに立っていた
丸山「横山君、寝なくって大丈夫?」
俺は、何故か少し心が落ちてる自分がいるのを感じていた
横山「大丈夫や、ちょっと興奮してるみたいで
眠れんから起きてるだけや」
マルは静かに俺の隣に腰を下ろして
丸山「......あの人は、僕たちの命を危険にするよ」
俺はマルを見つめた
マルには女の力が効かなかったのか?
横山「.....そうなんか?」
俺は、わざと惚けてみせた
丸山「愛してるの?」
マルは俺の核心を突いてきた
横山「........」
俺は答える事が出来なかった
丸山「幸運を祈ってるよ...」
マルは俺を責める事をせずにそう言った
そして部屋を出て行こうと立ち上がると
女が入って来たのだ
マルは女に軽く頭を下げると
すれ違いに部屋を出て行った
俺は入って来た女の顔が暗かったのが気になった
横山「別れの挨拶に来たんか?」
彼女は、少しだけ笑って
「本当に意地悪な人だね」
横山「これが俺やし」
俺は、床に目線を送った
女はゆっくりと俺の横に座ると
「私は、貴方たちに未来を届けるわ」
横山「未来を?」
「ここで、ホテルするつもりなんでしょう?
それが出来るようにするわ」
横山「ホテルをねぇ.....」
俺は、考え込んだ
「ホテルをしながら生きていて
私が貴方たちの救いを見つけてくるまでは」
俺は、女を強く見つめた
女は微笑んでいた
「私、貴方たちが光の世界で生きれる方法を
必ず持ち帰って来るから」
そう言うと俺の手を強く握ったのだ
温かい希望のようのように