第11章 理由(わけ)
女は、静かに話し始めた
「今回の件は、私の兄だと思うの」
横山「兄弟喧嘩か?」
俺は茶化してみたが、女は笑わずに首を振った
「私たちの父は、この世界に光と闇の世界を作った
兄は光の世界を守る事に必死になっているの」
横山「それは、神の世界の事か?」
俺の問いかけに女は頷いた
「私は、父が何の為に闇を作ったか知りたかった
だから、時々人間世界にやって来てたの
本当の救いを知りたくって」
俺は黙って話を聞き続けた
「それから私は
本当は、私たちと同じように光を浴びたいのに
闇にしか生きれない悲しみの悲鳴を沢山聞いた
人間の欲も見てきた.....」
横山「それはご苦労な事やな」
俺は冷たく言い放った
「そして、私が出会った中で一番の
悲しみを我慢してる人に出会ったの」
そう言うと俺と女の目線が合った
「それが兄の怒りに触れてしまったの」
横山「なんでや、俺と出会っただけやろ?」
女は答えが言えないのか
俺の胸の中に俯いた
俺は意味が分からなかった
何故、俺が狙われるのか
「私が貴方を救う事を兄は許そうとはしなかったの」
横山「壮大な兄弟喧嘩やな」
俺はそう言った時に屋敷に着いたので
女をゆっくりと地面に下ろすと
「これ以上、私が傍にいたら
もっと迷惑をかけてしまうの
だから、このまま去るね」
そう言うと俺に背中を向けた
俺は無言で女の腕を掴んで足を止めた
横山「お前は俺を救うと言った
責任を持ってもらおうか?」
俺の強い口調に女の動きは止まったが
「私の話しを聞いてる?危険なの!」
女は怒りながら言った
横山「この身体になった時から
危険は承知してる」
俺はそう言うと女を残して屋敷に入って行った
一人残され立ち尽くしている女に
雛は近いづいて行った
村上「アイツ、めっさ不器用やから許したってな
でも、アイツなりの告白やと俺は思うけどな」
そう告げると、屋敷に入って来た
俺は屋敷で女が来るのを待っていたのだ
今まで俺に抱かれていた感触を思い出しながら
氷のような胸を熱くしながら