第10章 狩り
羽根を見て男に動揺が走る
俺らの誰もが息を吞みこんで
女の美しい羽根を見つめていた
錦戸「ま、まさか、神?」
誰もが状況を飲み込めずにいた
しかし女は、羽根を見せられて焦っている男の頭を
そっと優しく撫でると
「今日の事は忘れなさい....
そう、目が覚めたら全ては夢だった....」
女の言葉を聞くと男は突然に深い眠りに落ちた
男が眠ってるのを女は確認すると
俺たちに向かって
「食事をする人を一人だけ決めなさい!
他の人を殺さずにいた貴方たちのために
傷は私が治しておく
そして今夜の事は夢にしときましょう」
錦戸「それより、ちゃんと説明しろや!」
亮が女に詰め寄る
「説明してたら朝になるよ、いいの?」
錦戸「ちっ!」
亮は悔しそうな顔をした
「早くしなさい、灰になりたくないんでしょ?」
女は俺たちの背中を一人一人叩いた
叩かれたヤツは、仕方ない顔で動きだした
俺は叩かれた時に女に声を掛けた
横山「ほんまに神の使いやったんやな」
「言えなくて、ごめんなさい」
横山「後で、ちゃんと説明してもらうからな」
「うん、分かった」
女は寂しそうに頷いたが
俺の目にあるモノに気が付いた
女の手首に青い痣が出来ていたのだ
そう縛られていたような痣が
しかし、俺の目線に女は気が付くと
痣を隠すように袖を引っ張って
「ほら、急いで」
俺らを促したのだった
俺は、羽根を見るまで
心のどこかでは、違ってる事を願っていた
俺の予感が間違ってる事を
しかし現実を見せつけられて
俺は大きな運命の輪の中にいる事をやっと
理解したのだった
もう、逃げる事の出来ない運命に