第9章 支配
その日、俺らはいつもの部屋で集合していた
起きた時から、女がどこにも居なかったのだ
最近は、必ず誰かは女に何かを教わっていたので
俺らは完全に暇していた
安田「今日は、どうしたんやろうなぁ?」
心配そうに、誰に言うわでもなく呟いた
渋谷「なんか、今日はめっさ退屈やな?」
自分専用のソファーに寝そべりながら
自分の伸びた爪を見ながら言う
丸山「最近は、毎日が刺激的だったからね」
教えられた事を思い出すように微笑んでいた
錦戸「そんなん、ただ腹が減るだけや」
吐き捨てるように言う
大倉「亮ちゃん、またお腹が空いてるの?」
みんなが驚いて錦戸に注目すると
亮は、怒ったように立ち上がった
錦戸「なんやねん、最近 狩りをしてないやんけ!」
安田「あっ、そう言えば、してなかったよなぁ?」
丸山「最近は忙しかったから、忘れてたね」
渋谷「おん、まぁ、そろそろ狩りの時期やな?」
大倉「気を付けないと理性が消えてしまう.....」
少し離れた場所で俺と雛は肩を並べて
みんなを見ていた
そんな時に雛は口を開いた
村上「今日、彼女はどないしたん?」
横山「さぁ?どこにも居らんし、匂いもせん」
俺は、そっけない声で答えた
そんな俺の顔を覗き込むように雛は見ると
村上「なぁ、そろそろ正直になったらどうや?」
横山「俺はいつでも正直やで」
俺は雛を交わそうとした
すると雛は真っ直ぐ仲間を見つめながら
重い口調で言い始めた
村上「なぁ、俺らだって、誰かを愛するやで?」
雛の突然の言葉に俺は、驚きを隠せなかった
横山「はぁ? 何をいってるんやお前は」
俺は照れからか笑って見せたが
村上「誰が見ても、恋してるやんけ?
あんだけ、他のヤツと一緒に居ると心配そうに
一緒にお前が居れば、疎い俺でも分かるわ」
雛の言葉を素直に受け入れる事が出来なかった
横山「俺も学ぼうと思ってや」
村上「はい、はい、そうですか」
雛は俺の答に呆れるように言った
雛は、あの女が神の使いの者と知らないから
簡単に言えるだ
家族を危険にさらす事など
俺が出来るはずはない
あの女に救いを求めても愛する事はない
俺はそう必死に思い込もうとしていた