第11章 ゴンとキルア
「ありがとう!キルア、ちなみ!」
走っていると、さっきのことでお礼の言葉を口にするゴン。
「いいのよ
私も楽しめたし♪
ね?キルア」
私は、クスッと笑みをみせ、キルアに話をふる。
「助けたわけじゃない
……言ったろ?これはゲームだって」とキルアは、冷たく返した。
《そろそろ、ラストスパートなので、ペースをあげますよ》
丁度、そのとき、試験官がそう呼び掛け、先ほどよりもペースが上がった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しばらくすると、出口が見えてきた。
「わー!出口だー!」
ゴンが嬉しそうに声を上げる。
「嬉しそうだな」
嬉しそうにするゴンとは対照的につまらなさそーなキルア。
「キルアとちなみは、嬉しくないの?」と、そんなキルアに問いかけるゴン。
「別に
ただの出口だ
つっまんねー試験だな
これじゃ、ゲームにもならない」
私は、それに同感する。
「同感
こんなのじゃ、逆に疲れちゃうよ」
ま、つまんなくは無かったけど
ちょっと面白いこともあったしね
「でも、合格すればハンターになれるんだよ!」瞳をキラキラさせるゴン。
「なんでそんなにハンターになりたいんだ?」
そんな様子を見て、キルアは、不思議そうに問いかける。
「俺の父さん、ハンターなんだ!
きっと、凄いハンターに違いないんだ!」
「きっと?」
キルアは、会ったことがないような言い方に反応した。
「あ、俺、おばさんの家で育てられたから、父さんは写真でしか知らないんだ
でも、それでいいんだ!
俺、父さんみたいなハンターになりたい!」そう、ジンとそっくりな強い瞳でハンター試験を受ける経緯を話す。
「ねぇ、それ、そのうち、貸してよ!
……ダメ?」
ゴンの視線の先には、キルアのスケボー。
すると、キルアは、清々しい表情をし、こう答えた。
「その釣竿、貸してくれたらな!」
私は、そんな二人に思わず、笑みが零れたのだった。