第6章 過去の一部分
ふと、甘い臭いが左の方からしてきた。
この樹液は……
「レオリオ!!」
後ろから声がし、私とキルアは、立ち止まる。
後ろをみると、レオリオと呼ばれたおっさんが体力切れで立ち止まったようだった。
どうやら、もうダメらしい。
その様子をみたキルアが事実を口にする。
「お前ら、バカか?
そいつは、もう終わりだ」
すると、その言葉にゴンが反発した。
「そんなことない!!
それに放っておけないよ!
友達だから!」
「友達?」
キルアがその単語に反応した。
「そう、友達」
ゴンは、言い切る。
その澄んだ瞳に無意識にジンと重ねる。
~回想~
ポンっ
私の頭に大きな手がのせられた。
10歳ほどの幼い私。
私の頭にのせた男は、無情髭を生やした強く、優しい瞳を持った人。
……それは、私の師匠であるジンだった。
ハッ!
私は、重なった光景にハッとするが、いつもの表情に戻る。
そんな自分の少しの変化には、キルアだけが気づいていた。