第18章 Real feelings
「はい。それを説明するのには更に遡らないといけないんですけど…」
そういってニノは急に3人で海に遊びに行った日の話を始めた。
そして、じゃんけんで負けた小雨と2人で花火を買いに行った時に浮気現場を目撃してしまったこと、その後別れるために小雨にもついて来てもらったこと、別れる口実に「新しく彼女ができた」と嘘をついてしまったことを淡々と説明した。
俺は一気に全てのことが繋がって、安堵の気持ちが湧いていた。
それと同時に疑問や怒りも湧いてきた。
「でもそれ、なんで俺にも言ってくれなかったんだよ?」
「翔さん、自分で認めないですけど小雨のこと好きなのは、傍から見ててすぐ分かりましたから。
俺のことより小雨のことを考えててほしかったんです。」
俺はニノの言葉に驚きを隠せなかった。
今まで俺に隠れてコソコソしてたことに怒りを感じていたのが薄っぺらく感じるほど、ニノの真意に気付けなかった自分が情けなかった。
「でも俺…小雨のことは、なんつーか、その…」
「幼馴染なんですよね?彼氏ができると嫌で、俺とデートしてるとこ見てこんだけショック受けるほど大切な。」
俺が返事に言い淀むと、ニノは笑っているのかため息をついたのか分からないような短い息を吐いた。
「ったく、この幼馴染はめんどくせぇな~。」
「は?」
「小雨も同じことでずっと悩んでます。
だから俺は付き合おうって言ったんですよ。
今のままじゃ何も変わらないと思って。」
ニノは呆れたような笑顔でこっちを見ていた。
「それって…」
「あ、いやいや、軽い気持ちじゃないですよ、もちろん。
一連のできごとがあって、俺も小雨に魅了された一人です。
でも小雨は迷ってるみたいだったので、俺と付き合ってみて、翔さんの方を恋愛対象として見てるって自覚したら別れてもいいですよって言いました。
でも、そうじゃなかった場合は俺と向き合ってみてくださいって。」
俺はドキッとした。
ニノのやり方は強引な気もしたが、そうでもしないとこの長年引っ張っているもやもやとした感情は晴れないのだろうと納得できた。
「それで今日、翔さんと話す前ですけど、俺と向き合えるように翔さんに交際報告してくるって宣言したんです。」