• テキストサイズ

△ Campus Life

第15章 Impact


手元のアイスコーヒーの氷を、2人してストローでカラカラとただかき回す。
かき回された氷は、ただグルグルと同じ方向へ周り続けた。
堂々巡りしている私たちみたいに。



カラン



ニノ君が氷の動きを止めた。
氷は全て動きを止め、水面に浮いてくる。



「翔さんが捕まらなくなってから、俺たちこうして2人で会うこと増えましたよね。」
「え…そう、だね。」
「俺は小雨ちゃんと仲良くなったって思ってるんですけど、どうです?」
「うん…まぁ、そう思う、よ。」



ニノ君が何を言いたいのか分からず、投げかけられた質問にただ思ったとおりの答えを返す。
私の氷も動きを止めた。



「じゃあ、ちょっと踏み込んだ質問させてもらいますね。」
「…どうぞ。」
「小雨ちゃんにとって翔さんってどんな存在?」



ニノ君はストローをいじるのをやめて、真っ直ぐに私を見つめていた。
その目は本当に真剣で、私はずっと目を合わせていられなかった。
外の豪雨を眺めながら、問われたことを考えてみる。



「翔君…」
「前に翔さんにも同じことを聞きました。」
「どうせ『ただの幼馴染』でしょ。」



高校の頃からずっとそうだったから。
私は分かりきった答えだと思って先回りした。
しかし、ニノ君は何も言わない。
私はニノ君の方を見た。
ニノ君はまだ真っ直ぐな目で私を見ていた。



「え…違うの?」
「ハッキリとは答えませんでしたけど、たぶん小雨ちゃんと同じように迷ってますよ。」
「私と…同じ…?」



ニノ君はゆっくり頷くと、コーヒーを一口飲んだ。
私は再び窓の外に目を向ける。

翔君は小さい頃からの幼馴染。
でも彼女ができるとちょっと辛くて、そばにいないとなんか変で。
この感覚が家族に近いのか、恋愛に近いのか、私にはまだわからなかった。



「私にも…わかんないよ。」
「えぇ、だから俺も途中まで翔さんの答えが出るように応援してたんです。でも俺、気付いちゃったんです。」



ニノ君の雰囲気が急に変わった気がした。
私は不安定な今の3人の関係が更に崩れる予感がして、背筋が寒くなった。



「ニノ君…お願い…」
「俺が別れ話する時も、この間の擬似デートも、小雨ちゃんの良い所とか知らなかった一面、たくさん知りました。」
「ちょっと、待って…」
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp