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△ Campus Life

第15章 Impact


「答えが出ないなら、出しませんか?」



ニノ君は私の静止も聞こえないみたいに喋り続ける。



「俺と付き合いましょう。」



しばらく沈黙が続いた。
私は背もたれに体重を預けたまま俯いている。
ニノ君はそんな私に優しく話しかける。



「俺は踏み台でいいんです。
2人のことは友達としても大好きですから。
俺と付き合ってみて、翔さんのことが恋愛対象なんだって気付いたら、俺とは友達に戻ればいいんです。
でももし、幼馴染としての好きなんだって分かったら、その時は俺と向き合ってみてください。」
「ニノ君は傷ついてもいいの…?」



なんて悲しいことを言うんだろう、と思った。
ニノ君はいつだって愛されたくて、なのにいつだってその優しさで自分を犠牲にしてしまうんだ。
私は今にも泣きそうなのを堪えて、ニノ君に聞いた。



「傷つかないですよ。
どっちに転んでもハッピーエンドじゃないですか。
小雨ちゃんのため、みたいな言い方しましたけど、今の俺は小雨ちゃんに惚れてて、もし別れることになったとしても、短期間でも自分の好きな人が彼女としてそばにいてくれるんです。
そして別れた後も、俺の大好きな友達としてまた3人でつるんでいられるんです。
幸せですよ。」



私が黙っていると、ニノ君は更に続けた。



「それに俺、惚れさせる自信ありますから。」
「何それ…」



ニノ君はいつものニノ君に戻って、ドヤ顔で腕組みをしてみせた。
私はそれをみて少し笑う。

確かに、擬似デートの時はニノ君のことをすごく意識していた。
その後もしばらくは。
ニノ君もきっと、私がニノ君に惹かれ始めているのを分かっている。

まさに今の豪雨みたいに先が見えない状況より、快晴の方がいい。
ニノ君なら、私の雨も蹴散らしてくれるような気がした。



「よろしくお願いします。」



私はぺこりと頭を下げた。
ニノ君はにっこり笑って「こちらこそ」と同じように頭を下げる。
私達は同時に頭を上げて、笑いあった。

外はすっかり晴れていた。
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