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△ Campus Life

第15章 Impact


「ふふ…ありがとうございました。」



昨日は全然尾行があるように感じなかったけど、やっぱりずっとくっついてきてたんだ。
これで後腐れなくお別れできてよかった。
私は本当にそう思って、心からの安堵を漏らした。
ニノ君はそんな私を見て、昨日のデートみたいに優しい顔で笑った。

私はその笑顔を見てまた体温が一気に上昇する感覚を覚えて、同時にさっきまで姿を探していた翔君が浮かんで胸が痛んだ。



「翔君には…いつ説明するの?」
「んぁー…そうですね、小雨ちゃんにも迷惑かけちゃいましたから2人きりで面と向かって話したいんですけど…」
「そっか。じゃあ、すぐだよね。」
「えぇ、昼飯とか授業でも2人になれる時はありますし。」



私はそれを聞いて不安な気持ちが少し晴れたような気持ちになった。
それでもちゃんと翔君といつもみたいに話すまでは、このざわざわした感覚は消えないんだろう。
要領のいいニノ君のことだから、すぐに翔君を捕まえて今までの事情を話して、それから私もずっと隠し事していたことを謝って、全て元通り。だよね?

しかし、思っていたより「それ」は難航した。
どのぐらいの日にちが経っただろう。
たったの2,3日くらいかもしれないし、1ヶ月は経ったかもしれない。
少なくとも私にはそのぐらいの長さに感じた。
翔君が故意に私たちを避けているのだ。

ニノ君とは全く顔を合わせなくなって、私は起こしてもらったりなんだりでたまに会話をするけれど、どれもぎこちない。
ニノ君から話すまで私は話さないようにしようと思っていたけど、こんな状態では話す以前の問題だ。
私はタイミングを見計らって何度も話を切り出そうとしたが、その度にうまく逃げられる。

私に対してぎこちない翔君は、怒っているでも悲しんでいるでもなく、苦しそうだった。
たまに何か言いたそうにしては口を閉ざして、私もその度に話を切り出そうとして逃げられて。
そんな堂々巡りを繰り返していた。



「いつからこんな風になっちゃったんだろ…」



駅前のカフェでニノ君と2人、作戦会議と称して雨宿りをしている。
今日は酷い雨だ。



「元はと言えば俺のせいですけどね…俺はともかく、小雨ちゃんまで同じような状況になってしまって…申し訳ない。」
「ううん。隠し事はやめようって私もすぐに言えばよかったんだもん。」
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