第15章 Impact
翌日、私は何度目かの目覚まし時計のスヌーズで目が覚めた。
今日は翔君が起こしに来ない。
「あれ…具合でも悪いのかな…?」
携帯を見ると、翔君からのライン。
『悪ぃ、課題やり忘れてたから先行く。』
ここ最近、翔君に嘘をついたり隠れたり、後ろめたいようなことが続いていたので少しの変化でも心がざわついて仕方が無い。
私は早く昨日までのアレコレを全部話して元通りになりたかった。
「あぁ…もう1限遅刻だ…。」
携帯を開いたついでに時刻の確認をすると、1限開始まであと10分だった。
私は遅刻して教室に入るのを覚悟して学校へ向かった。
教室へ着くと、前の方に座っている翔君を見つけた。
しかしこの授業は必修科目のため、生徒がびっしり座っている。
翔君の隣も、見知らぬ生徒が先に座ってしまっていた。
仕方なく、私は後ろの方の空いている席に座った。
そこからしばらくキョロキョロとニノ君の姿を探してみたが、ニノ君も朝が弱いせいか、起きれていないらしかった。
そのままニノ君は現れず、1限は終わりのチャイムを迎えた。
急いで翔君の元へ向かおうとするが、生徒の人数が多くてなかなか前へ進まない。
そうこうしている内に翔君は教室の外へ出てしまい、私が教室を出た時には見失ってしまっていた。
「小雨ちゃん、おはよ。」
「ひゃっ!」
翔君を探してしばらく左右に視線を動かしていたところに、いつの間にかそばに来ていたニノ君に肩を叩かれた。
「に、ニノ君か…おはよー。いつ来たの?」
「今です。」
「あはは…。」
ふいに声を掛けられて驚いた心臓がバクバクと鳴っているのを手で押さえながら、ニノ君が1限を諦めてこの時間に来たのを察して乾いた笑いを溢した。
彼は遅刻だと思ったらすぐ諦めるくせがある。
「翔さんは?」
「どっかいっちゃった。」
「一緒じゃなかったんですか?」
「んー…課題やり忘れてたとかで先に行っちゃって…それで私も遅刻して教室入ったから席バラバラ。」
「…ふぅん。」
ニノ君は少し目を細めて考える仕草をした。
私はなぜかその仕草に不安を覚える。
「そういえば、どうだった?ミスキャンパスさんの方は。」
「あぁ、帰ったら家の前にいて、納得したみたいでしたよ。直接さよなら言ってきました。」
「そっか…よかった。」