第1章 Memory
お互いにパートナーがいたこともあった。
高校1年生の夏、私に初めて彼氏ができた。
嬉しくなって翔君に報告した。
翔君は一緒になって喜んだけど、どことなく悲しそうだった。
そんな翔君が焼きついて、部屋に彼を入れてもベランダの向こうが気になってダメだった。
その彼は1ヶ月もしないでさよならした。
高校1年生の冬、翔君にも彼女ができた。
「成り行きだよ。」なんて笑ってたけど、私は心から祝福してた。
でもやっぱり、昼でも引かれたカーテンが悲しくて、それを見るたびこっそり泣いた。
それでもお互い、「好き」とかそういうものは生まれなくて。
きっと、一緒にいすぎて兄妹みたいになってしまったんだと思っていた。
彼氏や彼女、作ってはすぐに別れるを繰り返す私たちは、「きっと恋愛の死神にとりつかれてる!」なんて笑い話にしていた。