第7章 Misinterpretation
翔君とちょっと気まずくなってから3ヶ月。
翔君に好きな人がいるなら、私とあんまり一緒にいてはその子との関係も進まないと思い、私は一緒に登校することや学食を一緒に食べるのも、何かと言い訳して距離を置くようになった。
翔君から離れてゼミの友達と過ごす時間も増えてみると、いかに翔君がモテるのかが分かる。
「幼馴染で羨ましい」と、毎日のように言われるのだ。
でもこうして距離を取ってみても、翔君はニノ君といつも一緒にいて、なかなか発展はしてないみたいだった。
好きな人、諦めちゃうのかな?
「小雨ちゃ~ん!」
久々に3人揃って学食を食べたいとニノ君から申し出があって、私は学食にいた。
きょろきょろと2人の姿を探していると、先に席を取っておいてくれたニノ君が手を振っている。
隣には、翔君。
毎日見てる顔なのに、なんだか久しぶりの感じ。
「ごめんね!ゼミの子と話し込んじゃって!」
「いいえ~。キャンパスライフ楽しんでますね。」
「それで?ニノ君から召集掛けてくるなんて珍しいね。」
今日はコンビニで買ってきたお弁当。
私は手荷物からそれを出すと、包装を解きながらニノ君に問いかけた。
翔君は黙ってカツカレーに手をつけ始める。
「春はお花見をやったので、今回は夏の企画を考えました。」
「おぉ~!海かな?」
「大正解です。バーベキューとか花火とかね、定番どころですけど、どうでしょう?」
「いいね!翔君はどう?」
私は一向に話しに参加してこない翔君が気になって、話を振ってみた。
翔君は急に名前を呼ばれて驚いたのか、少しカレーを喉に詰まらせながらも激しく頷いて肯定した。
「も~。ちゃんと話聞いてないからだよ!」
隣のニノ君が水を差し出して、翔君はそれを一気に飲み干す。
息を整えると、「ごめん。」と一言。
そんな態度もなんか変で、私は益々、翔君との気まずさを深めてしまった。
「え、え~っと…ニ、ニノ君!そういえば最近彼女さんとはどうなの!?」
私は少し重くなってしまった空気を軽くしようと、ニノ君に話を振った。
ニノ君と彼女さんといえば、ニノ君がデレデレになるくらいの仲だから、これ以上空気が悪くなるはずもない。
精一杯デレてくれて構わない気持ちである。
「彼女ね~…変わりなしですよ。」