第7章 Misinterpretation
今度はニノ君の様子がいつもと違う。
いつもならあの子犬のようなキラキラ顔でのろけ話を聞かせてくれるのに。
今は「変わりなし。」それだけ。
私はついつい翔君に目を向けてしまう。
翔君もニノ君が変なことに気付いて私を見ていた。
目を見合わせて、『この話題は避けよう』と心で通じ合う。
ニノ君だって彼女と上手くいかない時期くらいあるよね。
普通に恋愛してれば山あり谷ありなわけだし。
たまたま今は喧嘩しちゃってるとか、すれ違っちゃってるとか、そういう時期なんだろうな。
私が頭の中で現状整理をしている間に、翔君は最近あったくだらない話などを繰り広げていた。
ニノ君も話に乗っかってからかったり、笑い飛ばしたり。
そんないつも通りにホッとしながら、私はまたこっそり翔君を見た。
さっき、一瞬だけ「普通の私たち」に戻れていた。
そのことが嬉しくて、唇を噛み締めてにやけ顔になるのを我慢した。