第10章 結実
その道中…
恵土「ドロロ…」
ドロロ「何でござるか?」
恵土「…小さい時さ…
実は
周りに人が居ても、一人だったんだ…」
ドロロ「?一体どういう」
恵土「…
当時、私が避けられてたって知ってる?」
ドロロ「こく」←頷く
恵土「接してくる人がいたけれど…
どこか、避けている感じだった…
その時だけって感じが…
それがいつしか…
あまりものって言うか、はみ出し者って言うか…
そういう感じだった…
一瞬、その部分が過去と繋がって…
自身の存在価値や存在理由が解らなくなって…
当時も、居ない方がいいって言われたり
自分の存在意義なんて、無いように感じていた…
それで
同じように、河原にいたんだ…
そこで、父上に助けられたことを思い返しながら…
また止まった…
多くの人が居ても、一人…
接してこられていても、一人だった…
そんな感覚が、染みついていたから…
それがたまらなく嫌だったから、そうなったんだって…
今では、ちゃんと解っている…
それでもさ…
今では、違うんだ…
凄く近くに感じる…
考えてくれる人なんて、父上と母上だけだった…
村の人たちは
私がどういう感情を抱くか
その気持ちや心情なんて、考えてくれなかった…
はとこの早苗、ただ思っていたことを伝えたってだけ。
それだけの感じで、他は全く村人たちと同じだった…
でも、今一緒に居る皆は
そんな人達じゃなくってさ…
本当に、ちゃんと考えてくれている…
とっても
人として本当の意味で優しくて、強くて…
とても、温かく感じていられる…
そんな感覚、もう二度と味わえないんだって思ってた…
それでも…(つー)
また、味わうことができた…
また、触れ合う温かさを…
楽しさや喜びを、また味わうことができた…(ぽろぽろ)
ドロロ…ありがとうっ…
本当に…
出会ってくれて…
傍に居てくれて…
こんな私を、大事にしてくれて…
想ってくれて…
本当に、ありがとうっ;;」
その両目からは、涙が流れていた…
数々の傷と思い出
それを上回る想い出と
それによって得られた
胸の内に在る、温かな想いと共に…