第10章 結実
ギロロ(全く。嘘が下手な奴だ…
あれだけ顔をそらされて、嘘だと見抜けない方もどうかしているが…)
あくまで気を使って黙ってたんですね。
先導しながら思うギロロでしたが…
恵土「解ってるよ…
自分を大事にしなきゃいけないって事ぐらいは…
でも、その感情の高ぶりは…
止められるものじゃなかった…
バカみたいに…
子供みたいになってた…
子供の時から、そういう経験が無かったからかな…
その感情に弱くて、すぐ行動に表してしまったのかもしれない…(俯く」
ドロロ「…」
恵土「それでもさ…」
ドロロ「?」
恵土「それでも…
途中で思い留まったんだ…
父上の言葉に、その想いに…
川の反射する空を見ていたら、自然と思い出して…
その想い出が、私を再び
いつもの自分へと引き戻してくれた…
衝動的に行動しようとしていた自分を
また、助けてくれた…
…
心に、深い傷をつけてきたのは…
いつだって、人だった…
それでも…
その心を救ってくれたのもまた、人だったんだ…
その想い出が、生きる支えになってくれていた…
それを忘れかかって、一つのことにとらわれて…
そんなことしたって、誰も喜ばないのに…
そんな簡単なことが解って止まるまで、時間がかかった。
ごめんな…ドロロ…
私…お前の彼女、失格だ(涙目&俯く」
やろうとしたことの大きさは
やった後のことを、考えなければわからない。
その行動の重みに気付くのは
やろうとしてから、少し後のことだった…
ドロロ「…
そんなことはないでござるよ」
恵土「!」
ドロロ「恵土殿は、ちゃんと理解しようとしてくれた。
それで既に、報われたでござる。
だから…
そんなに思い詰める必要もござらん。
ただ、悩む時も…
深く考えてこじれそうになった時も…
ただ一言、拙者に伝えては下さらんか?
そのための、言葉でござる^^」
恵土「…(微笑)
うん^^
(ハッキリ、解るよ…伝わってくる…
私のことを想って、そういってくれているんだって事…
助けたいと…力になりたいんだって、思ってくれている事も…)
ありがとう^^」
そうして…
晴れ渡る月夜の中、想いが通じ合った事に
嬉しそうに、互いを一度見つめて笑い合いながら
旅館へと、再び戻っていくのだった…