第8章 心の傷跡
恵土「全ての人に、忌み嫌われている…
少なくとも、そう感じていた…
私の中では…
それが、全部だったんだ…
村人たちが…両親が…
私の知っている、全部だったんだ…
だから…殺すしかなかった…
(自分を)消すしかなかった…
そうじゃなきゃ…
誰かに、同じ思いをさせちゃうって…
そんなのやだって…
そればっかりが、頭に残って…
ずっと、言わないようにするために
関わらないように、人気(ひとけ)のない所ばかり行っていた…
苦しくて辛くて。…それでも、っ;
ひっく;
同じ苦しみなんて、痛みなんて…
誰にも味あわせたくなんかない…
どうせ与えるのなら…
何よりの幸せと、とびっきりの笑顔がいい…
もらうのも、与えられるのも…
それさえあれば、何もいらないんだ…
それがどれだけ、少ないことなのか…
恵まれているのか…
それが…
どれだけ心を満たしてくれるのかを、一番知っているからっ!;
身をもって、解っているからっ!;」
ドロロ「こくこく」
それに同意するみたいに
ベッドにしがみつくように泣きじゃくる恵土に
二度頷きながら、頭を撫でることでドロロは返した
恵土「人には…
いい所と悪い所があるように
過去にも、いい所と悪い所…
喜びと痛みがある…
だから…
それを忘れず、受け入れて…
生かすしかないんだ…
皆が笑って、幸せでいられるようにって…
それに…
私を含めても…いいのかな?…
私も、それを望んでいいのかな?
望んじゃいけないって思ってた、それを…
望んでも…;」
次々に溢れ出ていく涙を止め切れず…
それでも、想いを言葉に変えていく…
幼い頃、殺してしまった思いを…
再び、蘇っていくかのように…
ドロロ「…望んで欲しい。
たとえ、恵土殿の己を殺す行為で
幸せと思えるような出来事が成り立ったとしても
拙者は、幸せではござらん。
その幸せは、ただの表面だけのもの。
両方含めて幸せになってこそ、真の幸せにござる^^
だから恵土殿(微笑)
安心して、戻ってきて下され^^
ここにはもう、拒絶も否定もする人はござらん(微笑」
そう微笑みながら、言い放たれる言葉に…
確かに、脈打つ己の心を感じた…