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奇跡 【ケロロ軍曹】

第8章 心の傷跡




…私なんかに…

生きる資格なんかないって思ってた…


でも…

両親が望んでくれた…


生き続けること…

幸せになるということ…


だけど…

自分自身がやったことを思うと…

責めずにはいられなかった…


そればかりがこびりついて…

目を離すことが出来なくて…


強引に離したとしても

それは、ただの責任放棄に過ぎなくて…


それが解っているからこそ…

その思いを、捨てられなかった…


最後に残ったのは…

自身が悪いという、未だに自身を責めようとする心と

両親が殺されて殺されかけたという、重い現実だけだった…


そして…

自身の意思を、自然に溶け込ませて…

ないもののようにしてしまうしか…解決策を見いだせなかった…


したいことの欲求も亡くなり

ただ、ふらふらと歩み続けていた…


熊やイノシシに襲われても…

咄嗟に気絶させるだけだった…


ただ、木から木へ飛び移ったり

岩から岩へ飛び移ったり…


そうやって、山々を移動し続けて…

一人のまま…誰とも触れ合うことも無いまま…

過ごし続けていた…


大事なのは、自分じゃない…

自分を含まない人全てであって、自分じゃない…


だから…

もう二度と、関わりを持たないようにしよう…


そのはずだった…


けれど、五年が過ぎた頃…

熱中症で倒れた私を、ドロロが助けてくれた…


それから…

私の考えは覆った…


ただ、一緒に居たい…

もっと、色んなことを一緒にしたい…


そればかりが頭によぎり…

心から笑うことが、自然と…

再び、できるようになっていた…


少しだけ、取り戻していっていることを感じていた…


幼かった頃の自分を…

その感情を…気持ちを…心を…


何より、大事な想いを…


それから、過去を話す決心をして…

今…他でもない自分自身として、話し出している…

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