第6章 遠き想い出
だが…
恵土「ははっ。
何、言ってんだよ…」
再び自嘲気味に笑い、
恵土「私になんて
幸せになる価値なんてないだろうが!!」
ドロロ「そんなことはござらん!!
なら、拙者にも同じことがいえるでござるか!?」
恵土「!…(首を横に振る」
叫ぶ中、ドロロもまた叫び返した…
ドロロ「…そうでござろう。
拙者も、同じでござる。
恵土殿は、きっと
両親が大好きで仕方がなかった。
だから、自分を…
その意思を殺すまでに、思い悩んできた。
だから…
ずっと、無心のままで生き永らえてきた…
何も感じず、何も思うことも無いまま…」
その瞬間…脳裏には、雪が降る中…
ずっと一人で、何かを思うことも無く
ただただ歩き続けている、小さな恵土が見えた…
ドロロ「そして…
今も、本当は苦しいのに…
我慢し続け、ぶつけまいとしている…
貴殿が本当に恐れていたのは
それによって、人が傷付くことでござろう?
その人を傷付けることを拒み
それから逃げ続けていたとして、何になる?
ただ、自身が消え去っていくのみ!!
幸せはおろか、何も感じないようになっていく!!
だからこそ…ほおっておけない…
恵土殿…
ぶつけ方を忘れたのなら
少しずつでもいいから、話して下さらんか?
拙者はもっと、恵土殿を知りたい。
恵土殿の、素直な気持ちを教えて下され」
その言葉に…
そう言いながら、寄り添い
そっと、頭を優しく撫でる温かさに…
恵土「…私は…
本当は、泣きたかった…
もっと、両親と一緒に過ごしたかった…
村人の皆と、もっと…
もっと一緒に笑い合っていたかった…(涙目」
昔の想い出を思い出しながら…
涙が、僅かながらでも増えていった…
ドロロ「…」
それに、何も言わず優しい目を向け
そっと撫で続けたまま、受け止め続けていた…