第26章 境界線
ケビン「俺は…お前を知る者だ。
俺もまた、世界に干渉できる者
そちらの世界では、存在していないが
感じ取れてはいるんだよ…お前自身を……
だから、霊感を持ち
テレパシーを有し、思いを敏感に察知し
嘘だと決めつけられ、好き勝手に言われ
こちらの想いなど、汲み取られることもない…
そのようなことは、よく解っている…
こちらとて、同じようなものだ…
しいて言うなれば、パラレルワールド…
もし、それに選ばれる者が違うものだった場合の
その、お前の住む世界と同じ住民だ…」
恵土「!…」
ケビン「解らないわけではあるまい?
お前も、さんざん言われてきたことだ…
世界に関わり、声が聴こえ、姿が見え
それごと伝わっていても、否定される一方…
幻覚と言われ、幻聴と言われ、妄想だと言われ
頭がくるっている、精神があれだのと…
好きに言われる中、たった一人で
同じ境遇者もいないまま、ただただ一人で耐え続ける…
誰にも言えず、誰にもぶつけられず…
そんなお前の居場所は、この世界にしかなかった……
だがな、その想いを理解する者はいなかったはずだ…
お前の持つ、全ての想いまでは!!」
そう、高らかに演説する声が響いた…
恵土「…それがどうしたよ…
それでも、どっちも大切なもんだ!」
ケビン「やはり、こちらは当たりか。
きちんと、調査していてよかった。
お前の過去も、今も…
俺は、ちゃんと知っている…
その神の力を、俺も持っているからな…」
恵土「!!」
ケビン「といっても
俺の持つ力は、お前に使った力だけだ。
正確には、お前と同じように
一つの世界で神の力を持つことを許されたという点においてだ」
恵土「言い出して言ったらきりないぞ。
誰もが、その可能性はあるんだからさ」
ケビン「だが…
それは、お前だけではないのだということを教えたかった…
その世界での感情を抑え、持ち込むことなく
相手の気持ちを優先的に考え、大事に生きていく…
耐えて耐えて耐え続け…
全てを理解してくれる人が目の前にいた場合、お前はどうしたい?」