第26章 境界線
恵土「ドロロ…;(涙」
ぽとっ
ドロロへと、涙が落ちていく…
ドロロ「…」
その直後、目を瞑りながら
ドロロ「恵土、どの…(ばたっ」
倒れ伏せる…
それでもなお、その手は…
決して、離すことはなかった…
恵土「…ドロロ…ドロロ!」
涙ながらに必死に揺するも、それは意識を取り戻さず
ただただぐったりと、動くことはなかった…
ケビン「!…記憶が戻ったか…」
キアラ「きいいいいいいいいいいいい!!」
ばしぃん!!
バリアが働き、綺麗にはじき返す中…
ずさぁっ!!
恵土「…皆…」
ケビン「来るのが遅かったな…
こいつらは、やっとこさばてばてだ」
恵土「…なあ、お前の狙いは何なんだ?」
ケビン「お前の幸せだ」
恵土「人の幸せの形ってのは、色々あるはずだろ。
その人にあった、その人だけの幸せなんてものは別だ。
勝手に、この方が幸せになるんだって決めつけてるのは
そっちの方だろうが」
ケビン「…果たしてそうか?
俺は、今までたくさんの時を過ごしてきた…
しかし、その中で幸せだったことなど2割程度だ。
…俺は、違う世界のお前も見た」
恵土「!」
ケビン「テレパシーという能力を持ち
違う世界の、アニメとされる世界にでも関われ
その世界に居る、自分という存在と意思を共有でき
それを、その住んでいる方の世界の数多の人たちへと
直接、伝えることだってできる。
…それでいながら、理解者など得ることもない…
かえって、自分の境遇を
その想いを理解できるのは、自分一人だけなのだと解り
己を傷付け、傷付き、苦しむばかり…
そのお前が、ここで幸せを感じた所で
あちらには…哀しみしかない
やたら八つ当たりをし、DVを続けていた父に
話を聴かず、受け止めてくれるのが
恵土や、その姉しかいないことで話すしか出来ぬ母に
小さなこずきやじゃれ合いで、暴力だと決めつけ
何かしら父に似てきたと、比較して言おうとする祖母
優しくはあるが、家から離れることが多い祖父
姉はいい方か、恵土のこれからのことを考え
色々な視点を教えてくれたらしいしな」
恵土「お前、一体…何者なんだ?」