第25章 飛龍の村
ドロロは、ただそれに聴き入っていた…
幼いながらに、恵土が感じた出来事に…
恵土「…そして、こう思ったんだ…
両方がいるから…
食べる存在が居て、食べられる存在が居て…
双方の命があって
初めて、一つの命が成り立っている…
数々の命の果てに
一つの命があり、数多の命があることを……
…
私はさ…
そのおかげで、大事なものを教わった…
遠い時を越え、数多の世代たちの想いを越え…
今があり、自分たちが存在すること…
だから、大切にしなければいけないんだって…
殺されるものの気持ちを感じ、悲しむことができる…
それが出来るのは、人間だけなんだってこと…
それでも、動物たちも感情はあって…
言葉に出ないってだけだったんだ…
当時、内に宿る力が…
神の力が覚醒していない時だったけど…
動物の声が、聴こえてきたから…
解ることができた…」
ドロロ「なんとっ!
そのような力が…」
恵土「ああ。
小さい時、そういう力を無意識的に発動させてたらしい。
そして…
風月流の原型を生み出した。
自然を通して身に付けた、アクロバティックな動き。
体全体の繊細な動きを全て繋げ、一つの動きとし
体全体によって技を繰り出すことで、凄まじい破壊力を生み出す
力を入れていれば、動きが遅くなる上に消耗が激しいから
力を抜いて、速さを極限まで増し
当たった直後に、力を入れて足も腰も軸も…
全部を使って、一発に全身の力を込めること!
…ともかく、一杯だったんだ…
だから、ここは私の原点なんだよ…
失う悲しみを知った、動物も同じだって知った…
そして…同じ思いを
同じ苦しみを味合わさせられる…
それが、どれほど悲しいことなのか…
辛いことなのかを、理解したから…」
その中、しみじみとした雰囲気が辺りを包んでいた…
ドロロ「なるほど。
だから、恵土殿は今のような性格に…
(3つ子の魂100までという言葉があるでござるが
正に、その通りでござるな」
その一つの想いの中
満天の星空のもと、流れ星が瞬く…