第24章 帰郷
早苗「!」
恵土「助けをいくら求めても知らん顔してたくせに!
何で…なんで、こんな時に限って!!」
首を横に振りながら、思い出すまいとしながら
必死に叫ぶ恵土…
早苗「そうかよ…
じゃあ、今日の夜…
お前の生まれ故郷が消え去るだけだ…」
恵土「!…それって…」
その手を離し、背を向けながら
日向家の屋上に飛び移り、浴衣をたなびかせながら呟く早苗
早苗「…空間ごと、消える…
そのままの意味だ…」
恵土「!
(つまり…もう二度と、あそこには…」
すぐに気付き、驚く中…
早苗「俺のことは、許さなくていい…
お前になら…
一生、ずっと憎まれ続けても構わない…
止められなかったのは、俺の責任だしな…
…あとで聞いたよ…
色々と悪かった…
それでも、その程度の謝罪で
許されるようなものじゃないということぐらい解ってる…
だから…
一生、この業を背負って生きていくよ…(真剣&微笑」
真剣な眼差しで微笑む早苗…
その表情は、どこか…
恵土の父上に似た面影を残していた…
(そりゃ、祖父同士が双子らしいですし)
そうして…
瞬く間に、立ち去っていった…
その後…
恵土は、拳を握り締めながら…
ただ一人、たたずんでいた…
冬樹「…恵土ちゃん」
そう手を差し伸ばすと…
振り返って、笑みを浮かべた。
恵土「さーてと
旅館のお土産とかは、全部出した。
後は野暮用済ませないとなぁ~。
今頃、あっちは明け方だな…
そろそろ行かないと、夜になっちまうし~
…ちょっと、出かけてくるよ」
夏美「…まったく。
そういう、優しい所は変わらずよね(微笑)
ぱっぱと行ってきなさい!(その背を叩く)
晩ご飯作って、待ってるから(拳を握ってみせる」
恵土「…(微笑)
ありがとう、夏美^^(拳を握ってみせる」
そして…
互いへの想いを乗せながら、拳をぶつけ合わせた…
そのやり取りを見ながら微笑む冬樹もまた
恵土を応援し、恵土は嬉しそうに微笑み喜んでいた…
それから…
恵土は、帰郷することになった…
その後ろで聴いていた
赤ダルマの心境に気付くこともないまま…