第23章 目覚め
恵土「ん~;
誰しも周りの人と違っている所や
足りない所がまったくないとは言えないし。
周りに全く迷惑をかけないで、生きてこられないし…
「いじめられる側にも問題がある」って…
その考えは、自身の他の人とちがっている部分や
足りない部分、人に迷惑をかけていることなどをとらえて
「あなたに対するいじめがあってもしかたがない」ということにもなるんじゃ?
「いじめられる側にも問題がある」というのは
結局、どんな人に対してもこじつけて言うことができてしまうし
後づけのいいわけじゃないの?」
ドロロ「頷く)そうでござるな。
それならば、全員がいじめられてもおかしくなどない。
一つひとつのいじめそのものは
凶器で刺すように、すぐに人の命を落とすものではないが
水滴が一滴一滴と積み重なり続けて
やがて最後の一滴で、石が完全に穿たれてしまうように…
心の痛みは、積み重なっていけば
やがて、その人を自殺にまで追い込んでしまう…
その人の、幸せな人生そのものを…
その行為自体が…いじめが、奪ってしまう…
それほど、責任のある行為だというのに…」
恵土「みんな同じ目標に向かってたんだ…
だから、他の人のちょっとした「違い」が
すごく目立つように感じたのかな…
でも、村の外に出て解ったんだけど…
実際の社会では、一人ひとりが本当にバラバラだ。
年も、生まれ育った環境も、外見も
ものの感じ方・考え方も…
全部が違っている…
全部が同じことなんてないのに…
一人ひとりが違っていて当たり前なのに…
その違いを、お互いに認め合い
尊重することも、大切にすることさえできない…
それが…
どれほどのひずみを生むんだろう…
大切にし合い、尊重することで社会は成り立っているのに
それが当たり前となれば、どうなってしまうんだろう…
それを止めるために、法律はあるんだろうけれど…」
ドロロ「むしろ違っているものを持っている人が
新しいことを始めたり、
社会を良い方向に変える力があると認められていると思うでござるよ?
エジソンという発明者は、その代表例でござる」
恵土「そうだね…
ってごめん!;話の論題がずれた!!;」
ドロロ「あ!;そういえば;」
今更気付いたよ、この人たち;