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奇跡 【ケロロ軍曹】

第18章 悪夢黎明(あくむれいめい)




すり抜けていくかのように落ちていった手…


そして…


恵土「父上…?」

父上「…」


父上は既に、こと切れていた…

血塗れの
「愛している」と書かれた一枚の紙を握り締めながら


その、清らかな想いと共に…

母上と同じように、笑顔を浮かべながら…


自分のいる方向を向いていて…


幼恵土「っ…

うあああああああっ!!!!!;;」


そして涙と共に…

再び、力が覚醒した…


恵土「うっ;」


幼い恵土から解き放たれた白い光が

凄まじさを増していき…


とてつもないほど高密度になり

飛龍と、その意思と共に一体化していた…


「化け物が攻めてくるぞ!」


だが…

幼い恵土は、その村人たちを許し

誰も傷付けず、誰も殺さず、


力を使いながら、空を飛び

両親を背負って、村を出た…


許すことこそが、両親の望みだから…



誰も、殺してはいけない。傷付けてはいけない…


それが、小さい頃からの教えだったから…



死んだ両親から、そう学んだから…



そして、父上と母上の亡骸を


村人の誰もが近寄らないような

険しい場所へより、みぞれが激しく振り乱れる中


見えない涙を流しながら…


その時に知った、村人たちへの

自身の命を護ろうとした願いを受け取りながら


涙を流す資格はないと


必死に耐えながら…

ぬかるんだ地面へ手を突っ込んで、穴を掘り


両親を埋めた…


そして…

それに覆いかぶさるようにして、何度も謝った…


謝っても、謝っても…

決して返っては来ない…


何も言えなかった…


何も、返してあげられなかった…


そんな想いに駆られ

謝ることしか出来なかった…


お礼なんて言葉は、思い浮かばないほどに…


自身への責めが、何年も続いていることが…

良心の呵責の激しさを、物語っていた…


そうして、五年もの間…

再び、人と触れ合うことを拒み…


信じられるのかさえも解らないまま…

ずっと、流浪し続けていた…


何も食べず、何も望まないまま…

あの時から、感情というものを取り戻せないまま…

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