第18章 悪夢黎明(あくむれいめい)
そして、返せと言われながらも…
その神龍は、私以外を認めようともしなかった…
渡そうとしても、取ろうとされても
神龍自身が白い光を放って、近づけさせようとはしなかった…
自身の意思をもってしても、語り掛けても無理だった…
解っていたから…
その渡した相手が、自身のたくらみのために
私利私欲のために利用され、いいように扱われることを…
それから
黒い闇の部分が見えるようになった…
その心があれば
目にはっきりと、映るようになった…
神龍を手にしてから、私を選んでから…
助けられるばかりだった…
しかし
「渡したくないばかりにそう言ってるんだろ!!」
そう言って、聞く耳さえ持たなかった…
そうして…
何度も殺されかけた…傷付けられた…
暴力が効かないと解ると、暴言へ。
効く方ばかりを選択してやってきて…
両親の方にばかり意識が言っている時には無防備になり
それを狙われた…)
その背景には…
遠距離では
手裏剣やクナイや銃弾で、ずたぼろに切り裂かれ…
近距離では
斧や鎌や刀などなどで斬られ、
悲鳴を上げ続けていた…
恵土(ズキッ)
痛む心…
そして、受け入れる人が…
信じてくれる人が、家族しかいず
塞ぎ込み、家にこもりがちになっていった…
神龍が意思を持っていて
その傷を、必死に光で治してくれていた…
それが嬉しくはあった…
それでも…
心までは、決して治ることはなかった…
それまでの日々があったからこそ…
それまで積もり積もった
『それでも、村人たちが大好きだ』という想いがあったからこそ…
その折、3月20日に誕生日会と称し
水汲みに行くように言われた…
両親から信じるように言われ、信じ…
そして、両親への力を切って
10kmほど離れた川に向かっていった…
幼恵土「雲行きが怪しくなってきたな…
急いで帰らないと!
(父上と母上、何をやってるのかなぁ。
とっても楽しそうだったけど(微笑」
背へ瓶を背負いながら、走り出す幼い自身
恵土「やめろ!帰るな!!」
その叫びもむなしく、過去通りに進んでいく…
黒い暗雲の中…
その心とは裏腹に、時は着実に進んでいた…